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New! Yann Durieux

2018.11.14 Wednesday

【ヤン・ドゥリュー】
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フランス ブルゴーニュ 祖父との思い出溢れるオート コート ド ニュイという土地を愛し、その土地のポテンシャルを最大限のレベルまで引き出し、途方もなくエモーショナルなワインを生み出しているヤン・ドゥリュー。
ハイリスク、ハイリターンな造りの為入荷もごぐごく少量です。お早めにどうぞ!
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*以下インポーター資料をご参考ください。

当初は、少ないキュヴェ数からのスタートでしたが、年々畑も拡張し、キュヴェ数を増やしています。またそれぞれが、従来のアペラシオンのヒエラルキーの概念にとらわれず、そのクオリティとヤンのプライドを反映した価格設定となっています。

率直に言って彼のワインたちのポテンシャルは相当な水準に達しているとは思いますが、キュヴェの細分化によってそれぞれの入荷数が限られるという事情もあり、丁寧な販売をするために日本入荷後もじっくりと熟成を待ち、個々のワインのリリースのタイミングを図っております。

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○レ・グラン・ポン・ブラン 2014 [白] (アリゴテ)

今回リリースのなかで唯一の白ワインが、レ・グラン・ポンです。アリゴテで造られるレ ポン ブラン シリーズは、スタンダードのレ ポンからはじまり、レ プルミエ ポン、レ グラン ポンとブルゴーニュの格付けを模したクラス分けが、ヤン自身の判断でなされています。つまり、このレ グラン ポンは、ヤン ドゥリューにとっての特級格付けとなるワインです。
ポテンシャルの高いブドウが得られる区画のアリゴテをマセラシオン(果皮と果汁を浸漬)し妖艶で複雑なアロマを引き出しました。すっと軽妙な飲み心地があるにも関わらず、高い成熟度を感じ、奥行きと複雑な余韻が怒涛のように押し寄せてきます。ある種マッサ ヴェッキア的なスケール感がありながら、11.5%の軽妙さが共存する不可思議なバランス。まだまだ時間軸の長い熟成が期待できるワインでもあります。

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○レ・ポン・ルージュ 2013 [赤] (ピノ・ノワール)

ピノ ノワールで造られるレ・ポン・ルージュ 2013は再入荷分。こちらも表示アルコール度数10%と驚異的な低さにも関わらず、それを微塵も感じさせない様々なエッセンスの塊のようなワインです。以前にも増して妖艶さが加わり、香水のような華やかな芳香とピュアなベリーの香りが同居する不思議なバランス。味わいも同様にみずみずしい清涼感のある果実味と共にじわじわと余韻に広がる膨大な旨味があり、飲み干したあとの舌に、鮮烈な印象を刻み込む特異なワインです。
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ヤン ドゥリューにとっての1級畑となるレ・プルミエ・ポン・ルージュ。カシスやブラックベリーのような艶やかな風味にキノコや森の下土のような微生物と有機物が織りなす複雑な香りが加わり、素朴でともすれば野暮ったいようでいて、その奥にはぐぐっと惹き込まれるような色っぽさを備えたワイン。ヤン ドゥリューの手がけるワインにはどれも、相反する表情の二面性を内包していると感じることが多いですが、このワインもまさにその典型。自身のドメーヌ発足から3年目ということもあり、近年の磨き上げられた雰囲気とも異なった輪郭の緩さがあるのも興味深いポイントです。

問題は、異才が手がけるこのクラスのワインとなると、その本領や実力を言語化するのが困難であるということ。そんな中、まず一義的に言えるのが、ヤン ドゥリュー自身が、「品質に見合う価格をプライドを持って付けた」ことが確信できるということ。どことなく冷たさを感じさせるクリアでシャープな輪郭とみずみずしくも奥深い果実味、ピュアな酸味や旨味は重層的で、圧倒的な強さはないものの多元的な表情を備えているワイン。「アペラシオンを超えてグランクリュに匹敵するワインだ!」なんて稚拙な表現は、恥ずかしくて使えない別世界な1本です。

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【ヤン ドゥリュー】

ヤン ドゥリューは、名門プリューレ ロックで栽培の仕事を長く続けた後、当初はロックでの仕事を継続しながら自身のドメーヌを立ち上げます。

ロックのグラン クリュで行われる、もしくはそれ以上のレベルの仕事をオート コート ド ニュイを中心としたブルゴーニュ アペラシオンのヒエラルキーにおいては下位に見られがちな区画で実践し、従来の常識を超えるワインを次々と世に出し、一躍時の人になります。

なかでも特徴的なのが、遅い剪定によって植物の生育のリズムを(一般的な栽培に対して)ずらし、低いアルコール度数ながらも植物として生理的には十分と成熟しているというブドウを育てます。

結果、アルコール度数が低いにも関わらず、味わいが複雑で濃密ですらあるという摩訶不思議な風味のワインとなりますが、それこそがヤンの目指す、繊細で純粋なテロワールの表現です。

当然ながら醸造においては人為的な介入や調整は忌避し、瓶詰め時の亜硫酸すら用いないというスタイルは、高額なワイン産地であるブルゴーニュにおいては異端中の異端といえます。

まさにハイリスク・ハイリターンのワイン造り。

その姿は、ボジョレーの鬼才、フィリップ・ジャンボンと重なる、狂気すら感じる生き様です。

Posted by 坂田 智広